(440)冬青空一角切って胸に貼る/高野ムツオ(1947年~)
雲のない青空の日などは空気がぴりりと澄んで、肺の中まで清められるような気がする。河北俳壇初代選者の阿部みどり女には(春の句だが)<海つばめ日の出に肺を清めたり>の句もある。掲句は自身の癌(がん)を詠んだ一連から。気持ちの張りを感じさせる作である。気管支を広げる医療用テープのように冬青空を捉えている…
関連リンク
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