(442)北斗星枯野に今日のバス終る/齋藤愼爾(1939年~)
田舎のバスは本数が少なく、夕方には最終便ということも珍しくない。掲句は「枯野」に立つ人気(ひとけ)のないバス停だろう。私の記憶の中の最終バスでの、乗客は私一人だけのしーんとした車内が思い起こされる。降車後、運転手は空っぽのバスを運転して夜道を進んで行った。このバス停は作者自身のようでもある。ひとり…
関連リンク
- ・(441)雪国に住み食べもののみな薬/大畑善昭(1937年~)
- ・(440)冬青空一角切って胸に貼る/高野ムツオ(1947年~)
- ・(439)一本の枯木となりてあらがえり/湊楊一郎(1900~2002年)
- ・(438)森に入るやうに本屋へ雪催/篠崎央子(1975年~)
- ・(437)もがり笛風の又三郎やあーい/上田五千石(1933~1997年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。