(443)草枯や海士(あま)が墓皆海に向く/石井露月(1873~1928年)
海沿いの地域、お墓は海を向いて立っているのが多いのはどういうわけなのだろう。死者は海に帰っていく、といった思いもあるのだろうか。一面の草の枯れというさびしく、厳しい事象に対し「海士が墓」「海に向く」と韻を踏んだ柔らかな響きが印象に残る。すぐ風化しそうな石の「皆」は悲しいが、また救いでもある。露月は…
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