中国の「ゼロコロナ」抗議デモ 人々はなぜ白い紙を掲げているのか?
中国各地で習近平指導部の「ゼロコロナ」政策に反対する人々が白い紙を掲げているのはなぜ?-。西日本新聞の海外特派員が読者の「知りたい」にこたえる「あなたの特派員」に、こんな質問が寄せられた。調べてみると、「白紙革命」の始まりはほんの数日前。A4サイズの白紙には中国当局の理不尽な言論統制に対するある地方都市の若者の静かな憤りがにじんでいた。
SNSが発端
先週末、北京や上海をはじめ中国各地でゼロコロナ政策への抗議デモが続発した。防疫措置の緩和を求める声だけでなく、「個人独裁反対」と習国家主席批判も噴出するなど、異例の事態に発展。当局への抗議や表現の自由の象徴として、現場で白い紙を掲げる若者たちの姿が目立ったため、白紙革命や白紙運動とも呼ばれ始めている。
関係者によると、白紙が使われ始めた発端は、24日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた高層住宅火災を巡る交流サイト(SNS)の25日付の投稿。10人が犠牲になった火災現場はコロナ対策で封鎖されていたため避難が遅れたとされ、「路是通的、他們不跑(道は通れたが、彼らは逃げなかった)」という当局の主張を題名にして、責任逃れを追及する内容だった。
当局、再発を警戒
投稿は中国国内で一気に拡散され、各地のゼロコロナ抗議デモに火を付けたが、当局側が削除。26日になって、江蘇省南京市のメディア系大学「南京伝媒学院」の学生たちが「何も書かれていないなら削除しようがない」として、ゼロコロナ政策の理不尽さと言論統制に抗議する意味で白紙を掲げ始めたという。
同学院で撮影されたとみられる動画には、女性が手にした白い紙を男性が没収する様子が映っており、SNSで拡散。一両日で全国の大学生に共感が広がった。白紙を掲げる若者たちの運動は今後どうなるだろうか。全国的な抗議デモ発生後、当局は広場に治安要員を配置したり、大学生を帰省させたりして再発を強く警戒している。(西日本新聞中国総局・坂本信博)
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