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コロナ後遺症「外来はどこ」 仙台の女性、切実な声 県HPから探すのは困難

週1回通う山形市の医療機関で診察を受ける女性。体だけでなく、送迎する家族の負担も大きい=27日

 「宮城県のホームページ(HP)掲載の医療機関に片っ端から電話しても、治療してもらえない」。新型コロナウイルス感染症の後遺症に苦しむという仙台市青葉区の50代女性が「読者とともに 特別報道室」に切実な声を寄せた。取材の結果、後遺症への対応を持て余す関係機関の実情が浮かんできた。

望む対応してもらえず

 女性は7月下旬に感染。39度近い熱やせきなどの症状が出た。療養期間後、少しずつ体力は戻ったが、回復が遅い気がしていた。

 8月下旬、買い物帰りに「体が何かおかしい」と感じた。帰宅後も足ががくがく震え、倦怠(けんたい)感を覚えた。基礎疾患はなく、寝不足や熱中症を疑ったという。

 ウオーキング好きだったのが、今はほとんど歩けない。「1歩で100メートル走ったような疲労。体だけでなく考えることもつらい」。在宅でしていた仕事も休んでいる。

 県のHPで後遺症の相談や診療が可能として紹介されている医療機関に軒並み電話したが、「何も治療できることはない」「屋外での診療になる」などと言われ、望む対応をしてもらえなかった。自宅近くの医療機関で血液検査や筋力などを検査しても「数値上の異常はない」で終わった。

 上咽頭に薬液を擦り付ける療法が後遺症に効くとの声が多いことをインターネット上で知り、すぐに応じてくれた山形市の医療機関に9月から週1回、家族が運転する車で通院し、同療法を受けている。

 女性は「誰もが受診できる後遺症外来がほしい。すぐに対応してくれる医療機関をHPの一覧から探すのは難しく、情報弱者の人だと何もできないかもしれない」と話す。

支援体制少しずつ整備

 福島県が6~7月に行った実態調査では、後遺症とみられる症状があった108人中17人(15%)が仕事を休職したり、退職したりしていたことが判明。女性のようなケースは各地で潜在的に多いとみられる。

 後遺症の原因や仕組み、実態は不明な点が多い。仙台市感染症対策室は「新型コロナによるものなのか、他の疾患が原因なのか判断が難しい」、宮城県疾病・感染症対策課は「治療法が確立しているわけではない」として、個々の対症療法が限界と強調する。

 各自治体は相談窓口を設けたり医療機関を紹介したりするなど、少しずつだが支援体制を整えている。東北6県の状況は表の通り。

 山形県は9月、患者の相談に応じ、医療機関を紹介する専用のコールセンターを設置。他の5県は保健所や新型コロナに関する総合窓口で対応している。

 青森、宮城、山形の3県は県HPで、対症療法や経過観察を行う医療機関を紹介。福島県は医療機関向けの研修を2月と8月に実施した。秋田県は具体の症状や受診先など周知するリーフレットを医療機関などに配布する予定だ。(相沢みづき)

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