(460)榾(ほだ)の火の親方に跳ね笑へ笑へ/谷口智行(1958年~)
「榾」は木の枝や乾燥させた木の根株のことで冬の季語。囲炉裏(いろり)や焚火(たきび)の燃料になる。作者の自註(じちゅう)に「石切(いしきり)場の飯場。作業員が缶焚火をしており、跳ね火が親方を襲う。一同大爆笑」とある。こんなことが俳句になるのだと驚くが、笑い合えるような作業員と親方の関係性も生き生き…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。