1月2日は「仙台初売り」江戸時代から続く新年行事を秘蔵写真で振り返ってみました
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豪華な景品で全国的に知られる正月恒例の「仙台初売り」は藩制時代から続く年中行事で、2024年は1月2日から一斉に開催されます。例年、仙台市内の各商店街で餅や甘酒が振る舞われたり、和太鼓演奏など多彩なパフォーマンスが繰り広げられるなど、大変なにぎわいを見せます。昔の河北新報をめくりながら、仙台初売りの移り変わりをたどってみました。(編集局コンテンツセンター・小沢一成)
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400年以上前にも
仙台初売りの起源はいつ頃なのでしょうか。仙台市博物館に残る伊達家文書「正月仕置之事」に「2日は買い初めで、米や塩、あめ、おこし米を買う」とあります。政宗が家督を相続した際、父から与えられた正月行事のスケジュール表で、400年以上前に1月2日に初売りが行われていたことを示す最古の文書といわれています。
宮城県百科事典によると、仙台初売りは「藩制時代から培われてきた謝恩商戦」です。江戸時代後期の文化文政年間(1804~1830年)頃の書物「仙台年中行事」には「正月2日の朝早くから店の格子戸をたたいて初売り初買い…」と記述されています。「仙台商人の心意気」とばかりに大盤振る舞いが名物で、過度な景品配布を規制する景品表示法の特例を今も受けています。
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例えば、1930(昭和5)年1月3日の河北新報は仙台初売りの様子について「暁(あかつき)深いころから商店街へ押しかけた初買いの人々はまるで黒山のそれのよう」「5時の開店と広告した店々もウッカリすると表戸を打ち破られそうなので4時前後にはいずれも満員のお客さんを収容し…」などと活況を伝えています。
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戦後も仙台初売りのにぎわいは相変わらずで、1957(昭和32)年1月3日の河北新報は「夜も明けやらぬ4、5時というのに縁起の一番乗りを目指して延々の行列」「茶箱、座ぶとん、毛布、火鉢といった類いの景品を抱えてエビス顔」と報告。「(徹夜組のお客さんに)店でも板とムシロで風よけ囲いを作り火鉢やコタツを渡して大サービス」と、ほほえましいエピソードも記事に盛り込まれています。
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3日の時代もありました
仙台では古くから「1月2日初売り」が慣習とされてきましたが、1963(昭和38)年、「1月3日初売り」にかじを切りました。当時は「東京などでは早くから初売りを5日と決めていた」(1965年12月11日河北新報)といい、「元日も売り出しの準備に追われてろくろく休めないというのが、3日初売りに切り替えた大きな理由だった」(同)とのことです。ただ、各店の足並みの乱れもあって、1966(昭和41)年までに「2日初売り」に戻りました。
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その後、1975(昭和50)~1994(平成6)年の20年間は「3日初売り」時代でした。1975年1月4日の河北新報によると、各店が「正月ぐらい従業員をゆっくり休ませよう」と申し合わせたとのことです。
古来の「2日初売り」に再び戻ったのは1995(平成7)年でした。当時、仙台近郊の大型店やロードサイド店などで元日や1月2日の初売りが増え、対抗措置として開催日見直しの声が強くなっていました。
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「元日通常営業、2日初売り」が定着
2000(平成12)年11月、伝統の仙台初売りにとってエポックメーキングな出来事が起きました。大手スーパー、ジャスコ(現イオン)の岡田元也社長が仙台市内の店舗で元日営業に踏み切る方針を明らかにしたのです。規制緩和の進展で競争が激しさを増す中、全国的に郊外の大型店を中心に、元日も休まず営業を続ける地域が急増していたことが背景にありました。
大型店、地元商店街、消費者の代表らでつくる仙台商工会議所の「元旦通常営業を考える会」が2002年7月、①元日通常営業は自粛が望ましい②元日通常営業を行う場合は「初売り」の名称を使わず、福袋販売などのセールや催事を行わない③2日開催の仙台初売りを盛大に盛り上げる―という結論をまとめました。これを受け、2003(平成15)年以降、「元日通常営業」「2日初売り一斉開始」が地元ルールとして定着しました。
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コロナでさまざまな制約
近年は新型コロナウイルスの影響で、仙台初売りもさまざまな制約を受けていましたが、各店は福袋の事前予約制や売り場の分散など感染予防策を徹底しつつ、盛り上げに知恵を絞っています。物価高騰も重なって世知辛い時代だからこそ、新春の街に繰り出して仙台商人の心意気に触れてみたいですね。
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みやぎ地域安全情報
宮城県警 みやぎセキュリティメールより
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