(483)立ち帰るわが定点の冬木かな/安西篤(1932年~)
落葉樹は幹と枝だけになり、常緑樹は緑の葉を力強く支えています。寒風に耐え、積もる雪に無言でたたずむ冬の木には厳しい命の姿があります。定点観測は場所を決めて変化を測定しますが、作者はその木が自分の定点だと言います。冬木こそが自分の立ち戻る初心だと捉えているのでしょう。初心よりも定点という言葉には、常…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。