(486)指の傷舐めて真冬の味のせり/亀田虎童子(1926年~)
冬は空気が乾燥していて手指に切り傷が増えます。私も先日、段ボールで親指の横を切ったところでした。傷口を舐(な)めて治す、唾液で消毒するというのは昔から言うことですが、それなりに根拠があるようですね。切ったばかりの指を舐めると血と鉄と乾いた指の味がします。作者はこれが真冬の味だと言うのです。肌をぴり…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。