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<311次世代塾>仙台市職員の苦悩 追体験/第6期第15回詳報

地震保険の役割も学ぶ

クロスロードで意見を出し合う受講生たち=仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパス
損害保険の仕組みや役割を説明する生駒さん

 東日本大震災の伝承と防災の担い手育成を目的に河北新報社などが開く通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第6期は14日、第15回講座を仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスで行った。

 仙台市職員を対象に震災体験の聞き取り調査や伝承活動に取り組む職員有志らの自主グループ「Team Sendai(チーム仙台)」のメンバーと、日本損害保険協会東北支部事務局長の生駒新一さん(55)が登壇。学生、社会人ら73人が受講した。

 チーム仙台は市職員と防災士、大学生の10人が参加し、「人の口から人の心に伝える~みんなの災害体験を100年後の人たちへ」と題してワークショップを行った。

 メンバーは区役所の窓口業務と避難所対応にあたった職員や、施設が津波被害を受けながら下水処理を続けた南蒲生浄化センター担当者の証言などを朗読。受講生は市職員が直面した課題や苦悩を追体験した。発起人の鈴木由美さん(60)は「人の口から心に伝えることが大事。震災を自分ごととしてとらえてほしい」と訴えた。

 受講生は5人1班に分かれ、災害時の対応を疑似体験するゲーム「クロスロード」にも挑戦。トラブルやジレンマを想定した質問に対し、「YES」「NO」のカードを示した上で、判断理由を説明した。

 仙台市職員の実体験に基づく設問もあった。「地震後に区役所に住民が避難してきた。受け入れる? 受け入れない?」との問いかけに、「二次被害を防ぐために受け入れた方がいい」「区役所には大事な個人情報もある。近くの避難所に案内した方がいい」といった意見が出た。

 ゲームを振り返り、受講生は「他の人の意見を聞いてなるほどと思った。自分の意見の押しつけや決めつけは良くないと分かった」「学んだ知識を今後の活動につなげたい」などと感想を述べた。

 生駒さんは「保険を中心とした民間の支援の仕組み」をテーマに講義した。約1兆3000億円に及ぶ震災時の保険金支払額などに触れ、「迅速に効率よく支払うことが課題だった」と説明。「損害保険は生活再建、経済復興の直接的な手段だ。災害リスクを想定し、日ごろから準備しておく必要がある」と呼びかけた。

<受講生の声>

■少数意見も大切
 損害保険は今まで縁がありませんでしたが、社会に出たときの身近なテーマとして考えることができました。クロスロードでは意見が分かれても、互いの理由に耳を傾けました。納得のいく結論を出すには、少数意見を聞いた上で判断する必要があると感じました。(仙台市泉区・宮城大3年・佐々木千芽(ゆきめ)さん・20歳)

■自分で伝えたい
 損害保険の仕組みや震災時の役割を知り、備えの大事さを学びました。震災体験の朗読を聞き、人の口を通すことで語り継げることを実感しました。将来、教員を目指しています。震災をしっかり学び、自分の口で子どもたちに伝えたいと思います。(仙台市泉区・宮城教育大1年・本間陽菜(ひな)さん・20歳)

<メモ>

 311「伝える/備える」次世代塾を運営する推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、宮城大、仙台大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。

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