(489)雨は雪に土曜の電車乗らねばならぬ/森田緑郎(1932年~)
「しなければならない」と言ってしまうと、実際は簡単なことでも重荷に感じてきます。今度の土曜日に電車に乗る予定がありますが、そのためには時間を守って駅に着き、車内でじっとして目的地でちゃんと降りなければなりません。降る雨を見ながら、それが億劫(おっくう)になっている自分自身にぼんやりと気付いているの…
関連リンク
- ・(488)寒中の毛衣磨れば火の走る/大須賀乙字(1881~1920年)
- ・(487)まだもののかたちに雪の積もりをり/片山由美子(1952年~)
- ・(486)指の傷舐めて真冬の味のせり/亀田虎童子(1926年~)
- ・(485)まなざしは久遠の彼方寒昴/安藤清峰(1904~1983年)
- ・(484)手から手へ渡す小銭や冬ぬくし/恩田侑布子(1956年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。