(496)冬たんぽぽ三十年で町古ぶ/大西朋(1972年~)
『論語』では「三十にして立つ」というが、町はどうか。掲句の町は、新興住宅地やニュータウンなどと呼ばれる計画的につくられた町だろう。そして「古ぶ」は、「なじむ」といったところか。古びることは決して悪いことばかりではない。長い間人々の生活が続くことで、人と町が自然になじんで暮らしやすくなる。この冬たん…
関連リンク
- ・(495)咳をしても一人/尾崎放哉(1885~1926年)
- ・(494)心棒を蔵して冬の一木なり/渡辺誠一郎(1950年~)
- ・(493)なお翔(と)ぶは凍てぬため愛告げんため/折笠美秋(1934~1990年)
- ・(492)地の涯(はて)に倖(しあわ)せありと来しが雪/細谷源二(1906~1970年)
- ・(491)風鳴りの鉱山跡地冬夕焼/鈴木綾乃(2005年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。