(515)春風や見えぬ巨人の肩に乗り/大槻泰介(1952年~)
中国の神話では、天地を開闢(かいびゃく)した巨人磐古が死んだ後、そのボディーから万物が創世したということになっている。そうでなくとも、世界そのものが神というのはスピノザを例に出すまでもなくままある信仰のかたちである。春は雪が解け、大地も眠りから覚めていくような季節。人間は春を告げる風に吹かれている…
関連リンク
- ・(514)言霊のまず枯れそうな春の風邪/一関なつみ(1991年~)
- ・(513)雪螢束の間といふ刻のあり/増成栗人(1933年~)
- ・(512)春の雪誰かに電話したくなり/三代目桂米朝(1925~2015年)
- ・(511)炒飯にすこし春菊なんとかなる/小川楓子(1983年~)
- ・(510)心なき吾が木ら樹氷かがやかせ/細谷源二(1906~1970年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。