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シカ、イノシシ生息分布拡大 農作物被害防止へ対策練る 石巻で研修会

被害防止策について説明する関主任研究員

 シカ、イノシシの生息分布拡大に伴う農作物の被害などを食い止めようと「石巻・登米地域鳥獣被害防止対策研修会」が16日、県石巻合同庁舎で開かれた。合同会社東北野生動物保護管理センター(仙台市青葉区)の関健太郎主任研究員が「複数獣種に対する総合的な被害防止対策について」と題して講演した。

 県東部地方振興事務所が主催、牡鹿半島ニホンジカ対策協議会が共催した。県猟友会の石巻、河北両支部や石巻地方3市町、登米市などから関係者約30人が出席した。

 関主任研究員はシカ、イノシシの生態を交えながら「対策の基本は捕獲、環境整備、防除が3本柱になる」と語り、それぞれの具体策を示した。捕獲では、箱わなを用いた方法や、捕獲に関連する情報通信技術(ICT)機器などを紹介した。「シカよりもイノシシの方が警戒心が高い」と述べ、餌は米ぬか、圧片トウモロコシが一番扱いやすいとし、箱わなの外にも餌をまくことで警戒心が薄れることを指摘した。

 「環境整備とは野生動物が好む環境を集落周辺からなくし、魅力のないものにすることだ」と強調。餌や隠れ場所をなくすことがポイントといい、生ごみや放棄作物の管理、放棄果樹の伐採、耕作放棄地の刈り払いなどの必要性を説いた。

 防除についてはネット、金属、電気の各種類の柵の特長を紹介しながら上下複合による組み合わせで相乗効果が期待できることを説明した。「どんな柵でもメンテナンスは必要。設置完了がゴールではない」と注意を促した。

 関主任研究員は被害軽減を図るためのポイントに触れ「たくさんのことを始めようとすると疲れる。地域が納得し、見守りや維持管理をきちんとした上で、長く続けることが大切」と訴えた。

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