<TOHOKUデザイン>格別の曲線美 高い人気 仙台城の石垣(仙台市青葉区)

城郭に関する用語で、石垣の角の部分、面と面とが合わさって岬状に突き出たところを「出隅(ですみ)」と呼ぶ。へこんだ角の部分は「入隅(いりすみ)」。このラインの美しさが城郭鑑賞のポイントの一つとされている。
仙台市青葉区の仙台城本丸跡北面の出隅、入隅の曲線は格別、という評判がある。2次関数のグラフに似て、裾の勾配はやや緩やか。最高点付近ではほぼ垂直にそそり立つ。修復中の伊達政宗騎馬像台座がある本丸北東隅の辺りで高さは約17メートルに達する。
観光客にも人気の石垣は、実は政宗が築いたものではない。仙台城の歴史を調べていると、ある種の重い実感にとらわれる。
冊子「仙台城本丸跡の発掘 改訂版」(仙台市教委刊)の年表によると、仙台城の普請が始まったのは1601年。16年のトピックに「地震により櫓(やぐら)・城壁崩壊する」とある。政宗自慢の城が、一応の完成から間もない時期に大破したことが分かる。
再建された第2期の石垣も68年の大地震で崩壊。われわれが目にしているのは、4代藩主綱村が73年以降に築いた第3期の石垣だ。その後の年表にも「地震」「崩る」の記事が次々と現れる。東日本大震災による被害の記憶は生々しいし、現在も2022年3月の地震で崩れた石垣の部材が周辺の市道をふさいでいる。
美しさと、半面のもろさ、はかなさ。それゆえ城は詩にも歌にもなるのだろう。
メ モ 仙台城本丸跡で1997~2004年に発掘調査が行われ、現在の石垣より古い時期の石垣が見つかった。第1期(築城期)は10年程度、第2期は約50年で崩壊したが、第3期は300年の命脈を保ち、この間の構築技術の進歩を物語っている。

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