(528)日陰より眺め日向の春の水/深見けん二(1922~2021年)
ふとした時に触れるぬるさも春の水の質感ですが、ここでは小川など流れる水の様子でしょう。冬場の川は乾燥や積雪などで水量が少なくなりますが、春になると水の勢いが増していきます。水の流れに日が反射し、生き生きとしたこれからの季節を感じさせますが、それを見る作者はまだ暗がりの中にいます。日向(ひなた)へ出…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。