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震災津波「体験した」観音像、癒やし求める人を待つ 石巻・高橋工業所内に鎮座

観音様のそばに立つ高橋さん

 東日本大震災の犠牲者の十三回忌を前に、家族らを亡くした遺族や被災者を待つ聖観音菩薩(ぼさつ)像がある。石巻市鹿又新田町浦の高橋工業所敷地内に立つ高さ62センチ、重さ15キロの「観音様」だ。津波で流されたが、代表の高橋力蔵さん(77)が南浜町で見つけ、2021年に建立した。高橋さんは「津波に遭い、さまよっていた観音様は今も悲しみに暮れる多くの人々の心を癒やしてくれるはず。手を合わせに来てほしい」と話す。

 高橋さんは12年、おばが住んでいた同市南浜町の県道石巻女川線そばで倒れていた観音像を見つけ、手を合わせてその場を後にした。以後、毎年付近を訪れていたが、16年、伸びていた雑草に隠れて土に埋まっていたのを確認。関係機関の許可を得て持ち帰り、知り合いの石材店や工務店の協力を得て台座などを備え、21年夏ごろに建立した。

 「震災は絶対に風化させてはならない」。高橋さんはこの言葉を胸に刻み、津波で流され、南浜町や門脇町などにあったパイプや工場部品を震災遺物として約800平方メートルの敷地内に並べる。展示館と称した旧工場内にはバス停留所の看板なども設置。青森、広島両県などから大学生らが訪れ、防災教育を学ぶ場にもなっている。

 会社はJR鹿又駅のそばだが、地元での知名度はそれほど高くはなく、国道45号沿いに案内板を設置するなどPRする。展示館を含む敷地見学は月-金曜日の午前10時~午後4時。無料。連絡先は高橋さん080(1818)5390。

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