(531)そのほかの花待つこころ寒櫻/上野一孝(1958年~)
寒桜は季語としては冬に分類されますが、東京では3月上旬に開花するそうです。日本列島は南北に長いので地域の気温差も桜の木の種類の差もありますが、春の主立った花の前に色づく寒桜は、見上げる人々を和ませます。寒桜を見る心中には、早咲きの寿(ことほ)ぎに癒やされていますが、一方で、他の花はまだか、春の訪れ…
関連リンク
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- ・(527)焼山に風のゆくへを知りにけり/舘野まひろ(2001年~)
- ・(526)卒業や餃子に韮(にら)の色透けて/岩田奎(1999年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。