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「偉くならなくても立派な人に」 恩師の言葉支えに 佐藤さん、母校住吉中で奉仕作業

改修したごみ置き場の前で記念撮影する生徒会執行部と(後列右から)杉山校長、辺見さん、佐藤さん
佐藤さん(左)と杉山校長。恩師の言葉が今も教え子の心に響く

 石巻市住吉中の同窓生で、佐藤建設工業(石巻市駅前北通り1丁目)取締役を務める佐藤達也さん(45)が2月下旬、母校と恩師の役に立ちたいと、老朽化した同校の燃えるごみ置き場の改修作業などを無償で行った。学校側は3日に感謝の会を開き、杉山孝一校長や福田耕心生徒会長(14)が謝意を伝えた。

 佐藤さんは住吉中の1992年度卒業生で、バスケットボール部の主将として活躍した。3年生の時の担任が杉山校長で、「偉くならなくてもいいから、立派な人間になれ」と言葉をかけられたという。

 30年たっても教え子はこの言葉を忘れることなく、人生の指針になるメッセージとして心に刻み続けた。つらい時も自らを支える言葉となり、40代になって「世の中のためになる人」という意味を強く認識。30年ぶりに恩師が住吉中に着任したことをきっかけに、地域貢献活動として母校のために一肌脱ぐことにした。

 佐藤さんに加え、社員も工事に携わった。ごみ置き場の補修作業や正門のレール部の水たまりの改善作業、テニスコートへの砂入れを行った。

 感謝の会には教員や生徒会執行部が集まり、卒業生で社員の辺見冬威さん(27)も出席した。佐藤さんはあいさつで「30年前の担任だった杉山先生との縁もあり、『何かできることはないですか』と相談し実現した。学業と部活動に励み、将来は社会に貢献できる人になってほしい」と後輩たちにエールを送った。

 生徒会長の福田さんは「無償で補修していただき、ありがとうございます。今後も大切に使っていきます」とお礼の言葉を述べた。

 杉山校長は「30年前にかけた言葉を覚えていて、母校のために尽くしてくれることは教師冥利(みょうり)に尽きる。立派な大人になった証しを後輩たちに示してくれた」とたたえる。

 佐藤さんは「困ったことがあったら協力したい」と語り、今後も教育環境の整備支援を続けていく。

 伝統校の住吉中(生徒234人)は、同窓会や東京住中会が学校をバックアップし多感な生徒の成長を支える。地域も協力的で、地域で子どもを育てる機運が醸成されている。

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