(543)猪が来て空気を食べる春の峠/金子兜太(1919~2018年)
冬眠から覚めた猪(しし)が、峠に来て春の空気を胸いっぱいに吸っています。作者は、郷里秩父の山国の春の訪れを詠んだもので、思い切り気ままに吸う様子を「食べる」と表現したと話しています。しかし空気を食べて生きる猪だとすると仙人や精霊のようですね。元々峠は山の境目、あの世とこの世が重なる不思議な所と言わ…
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