(544)置けば泣き抱けば乳欲る日永かな/鶴岡加苗(1974年~)
若い頃に俳句を始めた人でも、仕事や子育ての忙しさの中で俳句から遠ざかってしまうことがある。掲句、あやしてやっと眠った赤ちゃんが、布団に置いた途端に泣き出した。仕方なく抱き起こすと、今度はお乳を欲しがる。育児はこの繰り返しだが、ふと外を見ると、ああ春の日も長くなったと思う。心身が振り回される時、季節…
関連リンク
- ・(543)猪が来て空気を食べる春の峠/金子兜太(1919~2018年)
- ・(542)着ぐるみの手のくたびれて赤風船/木村心優(2004年~)
- ・(541)飲み干せば空き缶うすし春の暮/嶌田岳人(1963年~)
- ・(540)陽炎より手が出て握り飯掴む/高野ムツオ(1947年~)
- ・(539)茎立や寝ぐせの髪を直されて/増子香音(1992年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。