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ほや雑煮「100年フード」に 石巻地方の正月料理、文化庁が認定

こまちが提供するほや雑煮

 石巻地方の一部で正月に食べられている「ほや雑煮」が、文化庁の「100年フード」に認定された。県内では、はらこめしなどに続き3件目。

 ほや雑煮は、焼いたり蒸したりしたホヤでだしを取り、焼いた角もちの上に、ホヤと野菜や練り物、セリ、イクラなどを盛り付けた正月料理。だいだい色のホヤは、鏡もちに乗せるダイダイと同様に子孫繁栄を祈念しているという説もあるという。

 100年フードの認定制度は、世代を超えて地域で受け継がれてきた食文化をアピールしようと2021年度に始まった。初年度は131件、22年度は3月にほや雑煮を含む70件が認定された。文化庁のホームページに掲載されるほか、PRの際にロゴマークを活用できるなどの利点がある。

 文化庁への申請は、一般社団法人石巻圏観光推進機構(石巻市)が担った。石巻地方の食文化を誘客に生かそうとほや雑煮のPRに力を入れ、21年度には海外に向けて日本の食を発信する農林水産省の「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」にも認定された。

 石巻市桜坂高の家庭クラブはホヤを使った新たなメニュー開発など、ほや雑煮をきっかけに取り組みを進める。石巻の食文化としての広がりが期待される。

 斉藤雄一郎業務執行理事は「100年フードの認定を追い風に、市民向けにイベントでPRしたり飲食店の協力を得て提供店を増やしたりとアピールを強化したい」と話した。

「一杯呑みや こまち」、予約メニューで提供

 ほや雑煮は家庭料理ゆえに、提供店がほとんどないのが課題。そこで地域おこしに貢献しようと、石巻市中央2丁目の「一杯呑(の)みや こまち」は、昨年からメニューに加えた。予約制で提供している。

 殻付きの蒸しホヤを水から煮てだしを取るのが特徴。ホヤの風味を生かしつつ、えぐみを抑えるよう工夫した。具には大根とニンジンの「ひきな」、セリ(三つ葉)、かまぼこ、ホヤ、焼きもち2個が入る。

 店主の阿部美弥子さん(56)は女川町出身。ほや雑煮になじみはなかったが、観光客などに味わってもらえるようにと試行錯誤して完成させた。

 阿部さんは「ホヤが苦手という人にも食べてもらえる味を目指した。一杯でホヤと石巻の魅力を感じてほしい」と笑顔で話す。

 1人前660円。3日前までに要予約。連絡先は090(2973)3052。

全国各地の100年フード - 食文化あふれる国・日本|文化庁

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