震災経験、自分の言葉で発信 学生2人「語り継ぎ」 石巻
東日本大震災の伝承について考える催しが3月21日、石巻市門脇町3丁目の市門脇東復興住宅集会所であった。大学生2人が、語り部の震災経験を自分の言葉で伝える「語り継ぎ」に初めて挑戦した。参加した学生や伝承活動の関係者ら約20人が耳を傾け、記憶や教訓の継承へ向け意見を交わした。
東北大課外・ボランティア活動支援センターが主催した。語り継ぎをしたのはともに東北大1年で、仙台市出身の穂積尚子さん(19)と静岡県出身の堀口和泉さん(19)。震災で両親を亡くし語り部として活動する、同市南浜町出身の高橋匡美さん(57)=塩釜市=から聞き取った震災経験や、自身が得た学びをそれぞれ語った。
高橋さんが震災3日後にたどり着いた南浜町で見た光景や実家1階で母を見つけた時の様子、遺体安置所を回りようやく父と対面した時のエピソードなどを写真とともに紹介。「自分の大切な場所や人が明日もそこにあるとは限らないから、自分ができる精いっぱいの熱量で大切にしてほしい」と訴えた。
参加者からは「当事者から聞く話でなくても心に響くものはちゃんとある」「共感しやすかった」といった意見があった。
2人は震災当時小学1年で、ともに大きな被害を経験しなかった。本年度、震災伝承をテーマにした講義の一環で高橋さんと交流を深め、語り継ぎに挑戦することを決めた。
堀口さんは「被災していない自分が語っていいのか葛藤があったが、だからこそ伝えられることがあるかもしれないと感じた」と話し、穂積さんは「匡美さんの話を、自分の中だけで終わらせてはいけないと語り継ぎに挑戦した。何かの形で伝承に携われたらいい」と語った。
高橋さんは「私の話を聞いて自分がどう変わったかというエッセンスも加わっていて、とても素晴らしかった。語り継ぎの可能性を感じた」とたたえた。
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