(553)きぶし咲き山に水音還り来る/西山睦(1946年~)
「きぶし」は春の山野に藤の花に似た黄色い花を咲かせる木。春先のまだ花の少ない時期に開花するので、鈴なりに垂れた花は見応えがある。山に春の訪れを告げるようだ。雪解けも始まり、それまで冬の静寂に包まれていた山に水音が戻って来る。ところで「きぶし」は漢字では「木五倍子」。俳句を始めたころ句会に出て読めな…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。