(554)ゆで玉子剥けばかゞやく花曇/中村汀女(1900~1988年)
桜の盛りの頃の曇りを「花曇(はなぐもり)」と言う。曇り空のお花見だが、お弁当のゆで卵を剥(む)くと、白身が輝いている。ぱっと場が華やぐ。「お花見」の気分の明るさがある。ところで、現代仮名遣いでは「曇り」のように動詞に由来する名詞は送り仮名を付けるが、俳句では「花曇」が優勢。「花曇り」だと「はなぐも…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。