若宮丸漂流、元アナ・藤沢さんが口演 扇子で調子、表現豊か 東松島
江戸時代に遭難・漂流し11年かけてロシアから日本に帰国した石巻若宮丸漂流民を題材にした新講談が9日、東松島市野蒜市民センターで行われ、元東北放送アナウンサーの藤沢智子さん(64)が着物姿で「口演」した。歯切れの良い語りで満員の観客を若宮丸漂流物語にいざなった。
台本を書いたのは石巻若宮丸漂流民の会会長の木村成忠さん(80)。タイトルは「若宮丸漂流物語~ふるさとなお遠く」。藤沢さんと木村さんは東北放送時代に先輩後輩として一緒にラジオ番組を制作した間柄だ。
藤沢さんにとって初の挑戦だったが、アナウンサーの経験を生かして表現力豊かに口演。方言を織り交ぜたり、扇子をたたいて調子を取ったりしながら漂流民たちの故郷を思う気持ちを伝えた。
会場は用意した約100席が埋まるほどの熱気。観客は藤沢さんの約40分にわたる熱演に拍手を送った。東松島市野蒜ケ丘の木島照男さん(75)は「郷土の歴史に興味がある。藤沢さんの語りがとても良く、物語に引き込まれた」と話した。
藤沢さんは「皆さん真剣に聞いてくれた。おかしな場面では笑ってくれた。機会があればぜひまた挑戦したい」と語った。
木村さんは「もう一本、若宮丸の台本がある。2本の新講談で、日本人で初めて世界一周した若宮丸漂流民たちの物語を広めたい」と意を強くした。
新講談「若宮丸漂流物語~ふるさとなお遠く」は16年ぶりの再々演だった。
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