牡鹿産ブドウをワインに 石巻・千台ファーム、半島先端に苗木1200本
川崎町のワイナリーを借りてワインを醸造する千台ファーム(石巻市渡波町1丁目)が、牡鹿半島で育てたブドウを使ったワイン造りに乗り出す。8、9の両日は関係者と住民ら計約120人が石巻市鮎川浜にある畑にブドウの苗木を約1200本植えた。2024年には閉校した近隣の学校施設をリノベーションした醸造所開設を目指している。
地元石巻で農業の会社を立ち上げようとしていた代表の吉田丈一さん(49)が21年、牡鹿半島先端にある耕作放棄地を視察。海と金華山が一望できる景色に心を奪われ「この土地で作物を作りたい」と決意。生産可能な野菜や果物を調べ、ワイン造りを進めることを決めた。
1.8ヘクタールの土地で、メルロー、シャルドネなどワイン用の4種を栽培する。醸造所は児童生徒数の減少で、3月に閉校した東浜小か荻浜中の体育館を候補地にする。将来的にブドウの栽培から醸造までを自社で手がけるという。
植えた苗木が育ちブドウを収穫できるまでには5年ほどかかる。吉田代表は「石巻にある食や文化、それらに関わる人たちをつなぎたい。海と山、両方の良さがある土地でワインができることを次の世代にもしっかり伝えていくなど、やりたいことはこれからも増えていくだろう」と話した。
吉田代表がワイン事業に取り組み始めたのは、川崎町の廃校を醸造所にしている「ファットリア・アル・フィオーレ」の目黒浩敬代表と知り合ったのがきっかけ。山形県内の契約農家が育てたブドウを使って、21年には1200本分、昨年は8000本分を醸造した。「千夢(せんのゆめ)ワイナリー」の銘柄で、石巻市内の飲食店や関東、関西地方の酒販店などに出荷している。
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