春の叙勲 積み重ねた功績に栄誉 石巻地方受章者、喜びの声
2023年春の叙勲受章者が29日付で発表された。県内の受章者は125人で、石巻地方からは地方自治や消防、防衛業務などの功労で5人が選ばれた。それぞれに喜びの声を聞いた。
旭日双光章(地方自治功労)
■元東松島市議 上田勉さん(79)
<生活向上に貢献>
航空自衛隊を退官後、旧矢本町時代を含めて7期22年2カ月、東松島市議を務めた。2013年からの4年間は副議長を務めた。「多くの人に応援してもらい助けられた」と感謝する。
医療や福祉、教育をはじめとする市民生活の向上に資する市政の実現に貢献。松島基地の立地を生かし、国の補助金を活用したまちづくりを提案した。「基地とまちの架け橋になれるよう取り組んだ」と振り返る。
「議会と市がより協力し合い、広く市民のためになる事業展開を考えてほしい」と後進に期待する。(東松島市矢本)
旭日双光章(地方自治功労)
■元女川町議 酒井孝正さん(76)
<町民の声届ける>
1995年から2019年まで6期連続24年間、女川町議を務めた。11~15年は副議長。「議会に送り続けてくれた皆さんのおかげ。支えてくれた家族の存在も大きい」と感謝する。
声なき声を行政に届けるため、町民の声を直接聞いて回ることを心がけた。議会では粘り強い交渉力で、道路環境の整備や医療福祉の充実を呼びかけた。
町や後輩議員には情報通信技術(ICT)の積極的な活用を希望する。「活動が見えることで、若い世代にも関心が集まるようになってほしい」と願う。(女川町大原)
瑞宝双光章(地方自治功労)
■元石巻市副市長 菅原秀幸さん(72)
<震災復興に尽力>
「やるべき仕事をしただけ。恐縮に感じている」。石巻市副市長を2014年4月から2期8年務め、東日本大震災からの復興に尽力した。「就任直後、市立病院再建の財源確保に職員たちと取り組んだことが印象深い」と振り返る。
職員時代も含めるとほぼ半世紀、市政に携わった。公共施設などの復興事業はほぼ完了したが、震災で加速した人口減少など課題は多い。「やっとスタートラインに立てたところ。人口減を抑えるには地場産業の振興が一番。頑張ってほしい」と後輩を激励する。(石巻市のぞみ野)
瑞宝単光章(消防功労)
■元東松島市消防団長 太田茂さん(70)
<使命第一に活動>
1984年に旧矢本町消防団に入団。2022年3月に一線を退くまで、37年間地域の安心安全を守るため尽力し、最後の3年間は東松島市消防団長も担った。現在は、機能別団員として携わる。
「市民の生命と財産を守るという使命を第一に活動してきた。受章は感無量」と表情を崩す。
忘れられないのは、東日本大震災。副分団長として救助・捜索に奔走。遺体の搬送は胸が痛んだ。
後輩たちへ「けがを防ぐためにも訓練を大切にしてほしい」とエールを送る。(東松島市赤井)
瑞宝単光章(防衛業務功労)
■元航空自衛隊 亀山司さん(63)
<熱源管理に従事>
1983年入隊。航空自衛隊松島基地第4航空団の施設隊給汽班で約40年、基地全体の熱源になるボイラー管理に従事した。「受章がまだピンと来ておらず、妻にも『なんで?』と言われた」と笑う。
ボイラーが生み出す熱は基地の空調管理や入浴設備に使われ、隊員の生活を支える。亀山さんは東日本大震災時、基地の浴場を一般開放し被災者の入浴を支援する活動にも参加した。
「最初は隊になじめなかったが先輩たちにかわいがってもらった。今があるのはその人たちのおかげ」と語った。(石巻市渡波)
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