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大川小津波訴訟の遺族が語り部に 映画「生きる」特別企画 校舎周辺巡り、学ぶ

語り部の説明に耳を傾ける参加者たち

 ドキュメンタリー映画「『生きる』大川小学校津波裁判を闘った人たち」の上映に合わせ、原告遺族による語り部の会が5~7日に、石巻市の東日本大震災遺構「大川小」であった。

 6日は3年生だった長女未捺さん=当時(9)=を失った只野英昭さん(52)と5年生だった次女千聖さん=当時(11)=を失った紫桃隆洋さん(58)が語り部を務めた。県内外から参加した約40人は、旧校舎の周りや裏山などを歩きながら、震災当日の大川小の対応や裁判への経緯を聞いた。

 渡り廊下の倒れた柱を前に只野さんは「一瞬に数百トンもの力が加わらないと、こうした折れ方はしない」と津波の威力を説明した。

 当時子どもたちが待機していた校庭では、裁判で争点となった当日の避難行動や危機管理マニュアルの2次避難について話した。紫桃さんは「市の広報車が津波を見て引き返した。その時に逃げる判断ができていれば」と話した。

 親子で参加した須藤真央さん(16)=山形県立山形西高2年=は「内陸に住んでおり、これまで津波のイメージが薄かった。内陸の学校でも校庭に逃げた後の2次避難を考えるべきだと思った」と話した。

 映画は津波で児童74人、教職員10人が犠牲となった大川小の津波訴訟原告遺族らの10年間の活動を記録。イオンシネマ石巻で上映されている。13、14日の上映会には舞台あいさつがあり、寺田和弘監督や吉岡和弘弁護士、遺族らが登壇する。

 寺田監督は「地元での上映は念願。遺族や学校関係者いろんな視点で見てほしい」と話した。只野さんは「どのようにして裁判になったのかを地元の人に見てもらいたい。繰り返してはいけない」と訴えた。

 津波訴訟は2019年、学校側の事前防災の不備を認めて市と県に賠償を命じた仙台高裁判決が確定した。

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