新たな一歩へ 震災で被災の実家、彫刻家ちばさんが公開 活用法も話し合う 石巻
石巻市中央2丁目のアートスペース「キワマリ荘」などを発表の場に活動している彫刻家ちばふみ枝さん。4日から6日まで、東日本大震災で被災し、現在はアトリエ兼倉庫として利用している同市渡波の実家を公開した。
公開イベントは、ちばさんや市内の作家らでつくるグループ「石巻アートプロジェクト」が主催。作家仲間や近隣住民らが訪れ、今も残る震災の爪痕を確認したり、今後の活用方法に意見を出し合ったりした。
実家は長浜海岸の近くにあり、震災で1階部分が浸水、祖母が犠牲になった。当時埼玉で暮らしていたちばさんは、2011年4月ごろから定期的に石巻に通い、家の片付けを開始。同年9月にはUターンし、アトリエ兼倉庫としてきた。
思い出が詰まった家の修繕の方向性に悩んでいたというちばさん。そんな中、昨年、東京のドキュメンタリー作家松井至さんと出会い、家と自身を取り上げたドキュメンタリーを撮ってもらう機会があった。
今回のイベントについて「映像を撮ってもらったことで、止まったままだった家の時間を進められるようになった。片付けをしていく中で、現在の家の姿を見てもらおうという発想になった」と経緯を話す。
オープンスペースでは、現在も渡波の家に残されているカセットテープや家族が使っていたポーチなどを公開。アクセサリーや雑貨などもフリーマーケットを開いて販売したほか、松井さんが撮影したドキュメンタリーも上映した。
ちばさんは「多くの人に足を運んでもらい、思い出話などができた。家の修繕など、新たな一歩を踏み出すことができそうだ」と3日間を振り返った。
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