(586)きのふよりあしたが恋し青螢/黒田杏子(1938~2023年)
「青螢」の青は蛍の光の緑に近い色だろう。青は瑞々(みずみず)しい印象を呼び起こす。将来への夢いっぱいの少女の心を思わせる掲句は、作者の幼少期、疎開先の栃木・黒羽で見た蛍を詠んだのではないか。作者は今年3月に逝去。亡くなる直前まで意欲的に「あした」を追い求め、俳人として一生を全うされた。金子兜太との…
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