(590)心臓に異郷の祭太鼓かな/相馬京菜(1999年~)
自分が今故郷にいないことを「心臓」へ響く太鼓の振動で感じている。文字通り胸に響く俳句だ。ところで仙台・青葉まつりは、伊達政宗が青葉城築城の折に、堺の石工たちが踊ったのがルーツという「雀踊り」が名物。石工たちも政宗も、当時の仙台人には「異郷の人」であったはず。そんな歴史にも想像が広がる。その異郷の響…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。