繊細なタッチ、豊かな表現　ベトナム出身のグエンさん、石巻でピアノ公演

　数々の国際コンクールで入賞経験を持つベトナム出身の若手ピアニスト、グエン・ヴィエット・チュンさんの単独公演が２４日、石巻市開成の市複合文化施設（マルホンまきあーとテラス）で開かれた。日本とベトナムの外交関係樹立５０周年を記念した公演で、繊細かつ重厚な音色が来場者１１５人を魅了した。

　シューベルトの「即興曲作品９０の３番」やモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第１０番ハ長調」などを約１時間にわたって演奏。ピアノの感触やホールの音響を踏まえて当日に選び直した曲目を、正確な運指と豊かな表現で披露した。

　石巻市鹿妻から訪れた無職の角張美津枝さんは「今日を楽しみにしていたが、すばらしい演奏が聴けた」と笑顔で話した。

　グエンさんは２０２１年のショパン国際ピアノコンクール（ポーランド）でベトナム人として４０年ぶりに本選出場を果たした実力者で、東北での演奏会は今回が初めて。

　１０月７日に再び来石し、両国の音楽家で構成するオーケストラ「日越祝祭管弦楽団」とともに演奏会を複合文化施設で開く。

　グエンさんは「東日本大震災で犠牲になった方々にささげるつもりで演奏した。１０月はショパンの『協奏曲第１番』などを演奏するので、会場でまた会いましょう」と語った。