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特集>石巻小・創立150周年 伝統尊び、未来へ歩む

元気よく校訓五箇条を唱和する1年生。伝統を受け継ぎ、一歩一歩成長する
創立150周年を迎える石巻小。歴史と伝統のある石巻市の中心校は、今後も児童の健やかな成長を願い教育活動にまい進する
新井校長

 石巻市石巻小(児童285人)は4日、創立150周年を迎える。1873(明治6)年の開校以来、市内の中心校として教育活動を進め、石巻地域の教育をけん引してきた。明治時代に制定された児童心得「校訓五箇条」を継承し教育活動の柱に据え、児童の健やかな成長を後押しする。歴史と伝統を重んじ、地域と共に歩む同校。未来に向けて、輝く軌跡を刻み続ける。

【学校教育目標】
 よく学び、心身共にしなやかで、たくましい児童の育成を図る

【目指す学校像】
 児童が楽しく学び、共に認め合い、高め合うことでしなやかな心と健やかな体を育てる学校(学校要覧より一部抜粋)

 校訓五箇条は「げんきよくせよ(心身共に健康)、まじめにせよ(勤勉で誠実)、ひとりでせよ(自主的・自律的)、よくこらえよ(忍耐強く)、しかとおぼえよ(学業に打ち込む)」。

 11代校長の錦織玄三郎氏が1906年に制定。児童が生き生きと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、日々人間として成長していくことを願い、37代校長の加藤精一氏が2005年に復活させた。

 児童は毎日朝と帰りの会や朝会と集会の前に唱和し、行動のよりどころとしている。入学後、学校生活に慣れた1年生も伝統を受け継ぎ、一歩一歩成長する。

 伝統文化を尊重する教育活動が石巻小の特長。学校独自の「かしわタイム」を設定し、各学年が年間3時間、礼儀作法や伝統文化を学ぶ。礼儀作法は黙想や立礼の仕方など、伝統文化は1、2年生が折り紙、5年生が風呂敷、6年生が茶道を体験する。立礼はきちんと立ち止まって相手の目を見てあいさつする。

 子どもの将来を見据えた実践で、「心を育む教育」の手だてとして注目を集める。新井雅行校長は「黙想や立ち止まってのあいさつができる児童の多くは落ち着きや集中力がある」と成果を語る。

 同校は「確かな学力」(知)、「豊かな心」(徳)、「健やかな体」(体)の調和の取れた児童の育成を重視し、それを支える食育を推進する。3、4年生は食育の活動として「一汁一菜プロジェクト」に取り組む。昨年度は3年生が石巻の食について調べ、4年生は郷土料理「おくずかけ」を作って食べた。地元の食文化を理解し、食に対する関心を深めた。

 本年度、重点に置くのは(1)授業の中でも書く活動を大事にする(2)縦割り活動を充実させる(3)業間運動、外遊びを奨励する(4)本を読み、感想文や紹介文を書く-の四つ。

 「書く活動は学力向上だけでなく、自分の世界を広げることにつながる」と新井校長。「縦割り活動で高学年が活躍できる場面をつくる。役割を与えて認めるとリーダーの資質は高まる。下級生にとって憧れのモデルとなる」

 児童はインプットしたものをアウトプットする力がある。4月28日にあった創立150周年の記念植樹では、児童代表の6年生が用意したあいさつ文を読み上げるのではなく、新井校長が説明した花言葉に触れながら思いを込めて決意を述べた。

 卒業生は2万1389人を数え、各界で活躍する。新井校長は「150年続く歴史の重みは自分自身を律する力になる。児童は石小の伝統を大切にし、誇りを持って学び、卒業後もたくましく自分の足でしっかり歩いていってほしい」と期待する。

<情報発信や食育、全国での受賞多数>

 石巻小は2006年、全国の小学校の優れたホームページ(HP)を選ぶ第4回全日本小学校ホームページ大賞(J-KIDS大賞実行委員会主催)の県代表に選ばれた。

 HPは地域の人や、全国に広がる同窓生に学校の「今」を伝えようと04年に開設。6年生を中心に学校での出来事を写真とコメントで紹介し、毎日更新した。当時の担当者は「最新の情報とベストショットでアクセスが多く、児童の励みにもなった」という。

 12年には、第10回全日本ホームページ大賞で「ベストセレクション200」を受賞した。

 「食」を大切にする児童の育成に取り組み、12年度は優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰を受賞した。

<節目祝い植樹、11月に式典>

 創立150周年記念事業として、4月28日にそれぞれ赤、白の花が咲くモクレンとハナミズキの苗木計4本を植樹したほか、11月25日に記念式典を開く。

 150周年記念の冠を付け、例年より規模を拡大した大運動会を5月27日に開催、10月18日には学習発表会を催す。

 

新井雅行校長「校訓唱和、行動の指針に」

 本校は1873年の開校以来、本年で創立150周年を迎えました。2万人を超える卒業生は、多くの分野で活躍しております。

 本校の朝は「校旗」と「校訓五箇条」で始まります。

 校旗は、当番の子どもたちの手で毎朝、掲揚搭に掲揚され、子どもたちの一日の活動を見守っています。

 校訓五箇条は、各学級の朝の会で唱和され、子どもたちの行動指針となっています。また、「伝統文化教育」で学ぶ「石小っ子の作法」は、礼節を重んずる態度を育て、子どもたちの成長の基盤となっています。

 時代が変わっても校旗、校訓五箇条、伝統文化教育は、変わることなく引き継がれていくでしょう。

 石巻小学校は、これからも子どもたちを地域とともに健やかに育む学校として教育に取り組んでまいります。今後も、皆さまの御支援をよろしくお願い申し上げます。

 

石巻小の歩み

1873年 6月 第七大学区第二中学区第八十一小学区石巻小学校として、御殿横町旧仙台藩主仮御殿を仮校舎に開設 
  91年11月 校舎新築(現在地)落成 
  92年 7月 湊、門脇の各分教場、独立して各尋常小となる 
1901年 8月 住吉分教場、住吉尋常小として独立 
  07年 4月 小学校令の改正で石巻尋常高等小となる 
  22年10月 創立50周年記念式典を挙行 
  23年 2月 校旗、児童帽章制定 
  33年11月 校歌制定 
  36年 5月 講堂落成 
  47年 4月 新学制で石巻市立石巻小学校と改称 
  51年 3月 完全給食実施 
  64年 8月 プール落成 
  73年11月 創立100周年記念式典。記念誌「百年のあゆみ」発行 
  82年10月 学校給食の運営と指導について文部大臣より表彰を受ける 
  85年 7月 全国少年少女リレー大会出場(県代表) 
  89年10月 文部省指定「道徳教育推進校」(学校・家庭連携)公開研究会 
2003年 6月 創立130周年記念式典、記念演奏会開催 
  04年 4月 県教委指定「小学校英語活動実践モデル地域」実践校 
  05年 3月 1906年に制定された「校訓五箇条」の復活を決定 
     10月 校訓五箇条の碑除幕式、完成披露式 
  06年 4月 国立教育政策研究所指定「伝統文化尊重教育実践モデル校」 
      9月 全日本小学校ホームページ大賞県代表 
  11年 3月 東日本大震災の津波で校舎床上浸水、2階教室を避難者に開放 
  14年 7月 創立140周年・屋内運動場落成記念式典 
  15年 4月 門脇小と統合 
  19年 3月 18年度優良少年消防クラブ(消防庁長官賞)表彰 
  23年 4月 創立150周年記念植樹

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