東松島市総合防災訓練 住民の車避難、初めて実施 地域指定し渋滞検証
東松島市と市自主防災組織連絡協議会は4日、大津波を想定した本年度の市総合防災訓練を実施した。昨年5月に県が公表した最大級の津波浸水想定を反映させた内容。自家用車での避難訓練が初めて行われ、沿岸部の住民らが内陸の大塩地区へ向かった。市は津波避難計画の改訂を進めており、避難所への距離が遠い市民に車避難を認める案を示している。
訓練は、午前9時に県沖を震源とするマグニチュード8.0、震度6強の地震が発生し、東北の太平洋沿岸に大津波警報が発表されたとの想定で行われた。
避難所までの距離が1キロを超える矢本東と矢本西両地域の一部自治会を、車避難が可能な区域に設定。午前9時にサイレンが鳴ると、住民らが大塩地区の東松島カントリーエレベーターや大塩市民センターに出発した。
市鷹来の森運動公園の県道向かいにある東松島カントリーエレベーターでは、市職員の誘導で82台が駐車場に入った。みそら工業団地の事業所も参加し、大塩市民センターに住民と合わせて64台が避難した。
家族で参加した矢本大林の公務員中武優樹さん(38)は「引っ越してきたばかりなので避難先を知るいい機会になった。15分ぐらいで着いたが、実際はもっと混雑すると思うと少し怖い」と話した。矢本関の内の鍼灸師(しんきゅうし)吉木妙子さん(69)は「東日本大震災後は地震が起きると避難する車で道路が渋滞する。今日はスムーズだったので、ルートを決めておくことも大事だと思う」と語った。
渥美巌市長は上空のヘリコプターから避難車両の流れを確認した。「地域を指定したので渋滞はほとんどなかったが、(実際の避難時には)渋滞は起きると想定している。鷹来の森運動公園近くの県道の拡幅改良が不可欠だ」と強調した。
訓練では市役所本庁舎に災害対策本部を設置し、17カ所に避難所を開設。自主防災組織ごとの訓練や消防車両などの展示もあった。
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