(610)紅生姜(しょうが)にじむ焼きそば雲の峰/金子敦(1959年~)
屋台のアツアツの鉄板で手際よく調理された焼きそばが、透明のパックにあふれんばかりに盛られ出される。輪ゴムを外して割り箸を割る。添えられた紅生姜の色が麺ににじみ、ソースの匂いとともに食欲をそそる。麺を頬張るとキャベツの甘さが広がる。空には勢いのよい雲の峰が立ち上がっていてすっかり夏だ。それを眺めなが…
関連リンク
- ・(609)黄昏(く)れてゆくあぢさいの花逃げてゆく/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(608)血も息も入れ替へるやう更衣(ころもがえ)/鈴木総史(1996年~)
- ・(607)つかみたる螢の尻の硬さかな/甲斐由起子(1964年~)
- ・(606)もの書きの肺に生まれる金魚かな/加藤知子(1955年~)
- ・(605)蠅取りリボンねぢれ昭和の垂れてゐる/坂下遊馬(1954年~)