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沿岸コースで再生実感 「いしのまき復興マラソン」 雨はねのけ1169人完走

復興が進む沿岸部を駆け抜けるランナー=11日、石巻市の日和大橋
ハーフマラソン男子で6連覇を果たした大橋=11日、石巻市
ハーフマラソン女子で優勝した菊地=11日、石巻市

 東日本大震災からの復興を発信する「第7回いしのまき復興マラソン」(石巻市、河北新報社など主催、三陸河北新報社など後援)のマラソン部門が11日、石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園を発着点に開催された。東北地方の梅雨入りと重なりあいにくの雨だったが、全国各地から集まったランナーが復興が進む被災地を軽やかに駆け抜けた。

 ハーフ(21.0975キロ)と10キロの両部門で、年齢と性別ごとの計12種目を実施。1382人がエントリーし、1169人が完走した。10日のウオーキング部門も含め33都道府県から愛好者が集まった。

 コースは石巻工業港周辺の雲雀野地区や石巻魚市場前、長浜地区など沿岸部に設定。ランナーは太平洋が広がる景観を眺め、津波で被災した土地の復興を感じながらゴールを目指した。

 開始式で、NPO法人石巻市スポーツ協会の阿部隆会長は「心臓破りと言われている日和大橋周辺は津波被害が大きかった場所。走りながら復興の様子を見てほしい」とあいさつした。

 1991年の東京国際女子マラソン優勝者の谷川真理さんがゲストランナーを務め「石巻の現状を見ながら、自分のペースで挑んでほしい」と呼びかけた。

 ハーフ高校・一般39歳以下の男子は、石巻RCの大橋真弥さん(29)=石巻市=が1時間7分45秒と昨年からタイムを1分以上縮め、6連覇を果たした。女子は昨年10キロ高校・一般39歳以下で3位だったUAの菊地春恵さん(37)=山形市=が1時間24分53秒で初優勝を飾った。

優勝者の喜びの声

■ハーフ男子 大橋真弥さん(29)=石巻RC= 
 2位を5分以上引き離す圧巻の走りで、石巻市職員の大橋(石巻RC)が大会6連覇を果たした。 
 序盤から1キロ3分程度のペースで飛ばし、後続を離すイメージで臨んだ。2~3キロ付近で集団を抜け出し、後は一人旅でマイペースを刻んだ。「タイムよりも優勝を目指してきた。昨年より暑くなく、走りやすかった」と振り返る。 
 勤務後を中心に1日20キロほど走ることが日課。レースも練習の一環として捉える。4日の仙台国際ハーフマラソンなども走り、この日で4週連続の大会出場だった。 
 「連戦の成果は次の大会にも生きてくると思う。今後はフルマラソンにも本格的に参加したい」と語る。24日には男鹿市で開かれる駅伝大会に石巻RCとして出場する予定だ。 
 自己ベストの更新と、実業団選手への挑戦が走る力の原動力になっている。「地元のレースは声援を送ってもらえて励みになる。まず地元で勝つことで、他のレースにもつなげていく」と意気込んだ。

■ハーフ女子 菊地春恵さん(37)=山形・UA= 
 復興マラソンへの参加は2回目。初めて挑んだハーフで頂点を勝ち取った。序盤は先頭と競り合わず、10キロ付近で2位に浮上。残り1キロでトップを追い越した。「後半に上げていく理想通りの走りができた。ラストスパートに弱い自覚があったが、無事にトップを守り切れた」と喜ぶ。 
 普段は宮城県職員として働く。東日本大震災では石巻市の支援に入り、雄勝、河北両地区などで被災者に対応した。「甚大な被害を目の当たりにし、当時は気持ちがいっぱいいっぱいになっていた。走りながらハード面の復興を見ることができた。地元の人たちのガッツや、多くの人の支えを感じた」と語る。 
 夫(38)や長女(6)もマラソン大会などに参加する陸上一家だ。「4歳の長男も含め、いずれは家族4人で大会に出られれば」と笑顔を見せた。 
 来年の大阪国際女子マラソンへの出場を目標にする。「女子ランナーの活躍に刺激を受けている。参加標準タイムを切るため、ハーフの練習を重ねたい」

■男子10キロ高校・一般39歳以下 大友理貴(りき)さん(25)=宮城= 
 第1回から参加している。10キロでの優勝は今回が初めて。石巻専修大OBで、石巻は第二の古里という思い。今後も出場を続けたい

■男子10キロ50歳以上 杉田康さん(52)=宮城= 
 十数年ぶりの10キロ。自己ベストは破れなかったが、優勝できた。日和大橋の上りと、向かい風がきつくて景色を楽しむ余裕はなかった。来年は楽しみたい

■女子10キロ高校・一般39歳以下 千葉彩有花(さゆか)さん(23)=宮城= 
 優勝を逃した昨年のリベンジを果たせた。石巻市の小学校教員で、教え子が応援しに来てくれた。今後も子どもたちに震災や復興を伝えたい

■女子10キロ40歳代 栁松千津さん(49)=宮城= 
 涼しく走りやすかった。40代最後を優勝で飾れた。普段、仙台視覚障害者RCで伴走者をしている。来年はベテランぞろいの50歳以上の部。頑張りたい

■男子ハーフ40歳代 小野寺昭さん(43)=宮城= 
 初めて出場した。雨風が強く、日和大橋のアップダウンは予想以上につらかった。石巻の沿岸部を走り、東日本大震災後に新しくなった街を初めて見た

■女子ハーフ50歳以上 堤佳子さん(51)=宮城= 
 連覇できた。各大会に参加し、通算174回目の優勝。東北大大学院生で持久運動能力を研究している。『走る研究者』として今後もマラソンで優勝したい

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