(613)吾(あ)のせゐにされたし夏のかなしみは/野口る理(1986年~)
暑い日差しが地上に照り付け、それに呼応するように人々も海や山や街を活発に動き回る夏。喜びに満ちているかのようだ。しかし、喜びが大きければ大きいほど後ろに控えるかなしみも深い。作者は、特定の人ではなく、夏が抱え持っている大きなかなしみを感受する。「吾のせゐにされたし」は、舞台俳優の感情過多の台詞(せ…
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