(614)文鳥のさらりと乾く桜桃忌/木田智美(1993年~)
作家太宰治は1948年6月13日に入水、発見された19日を忌日として「桜桃忌」という。文鳥はペットとしてよく飼育されるが、文学に引き付けると、筆者は夏目漱石の小説「文鳥」を思い出す。美しいものの死をテーマにした作品だ。そう言えば、太宰の文章は癖があってそれがまた美しい。掲句の文鳥には、まるで砂のよ…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。