(617)冷蔵庫の明りの中でハムを食ふ/斉藤志歩(1992年~)
電気冷蔵庫は四季を通して活用されるが、一番活用するのは夏だから、ということで歳時記で夏に立項されている。この冷蔵庫、いかにも日当たりの悪い一角に置かれているという感じがする。都会であっても窓から遠く暗い場所だ。夜のじめじめした空気感の中の、無の感情。食べ終わったら冷蔵庫にもたれて、ふうーっとため息…
関連リンク
- ・(616)五月雨(さみだれ)や根を洗はるる屋根の草/寺田寅彦(1878~1935年)
- ・(615)ピーマン切って中を明るくしてあげた/池田澄子(1936年~)
- ・(614)文鳥のさらりと乾く桜桃忌/木田智美(1993年~)
- ・(613)吾(あ)のせゐにされたし夏のかなしみは/野口る理(1986年~)
- ・(612)肯定を会話に求めゐては朱夏/辻村麻乃(1964年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。