(618)まんなかに始まりのある水馬/鴇田智哉(1969年~)
水馬の読み方は「あめんぼう」です。大きな池にも小さな水たまりにも、水面を滑らかに動くアメンボがいます。脚先に生える細かな毛が水を弾き、体は宙に浮かんでいます。中央にある胴体を「始まり」と捉え、そこから6本の脚が伸びているのです。中央が始まりなら、先端は終わりになるのでしょうか。実際の脚だけではなく…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。