桃浦にトンネル計画 災害時の避難、円滑化 石巻鮎川線・風越道路3期工区
石巻市の牡鹿半島を縦断する県道石巻鮎川線のうち、桃浦地区にトンネル整備を計画する風越道路改良の3期工区について、県が年度内の着工を目指していることが分かった。急勾配のカーブが続く難所をトンネルで解消し、原子力災害を含む有事の避難道や住民の生活道としての利便性を高める。改良工事着工から30年余りで最終工区の工事が動き出す。
3期工区は延長2.7キロ。1期工区(延長1.6キロ)で整備した風越トンネルの鮎川側出口近くから桃浦漁港付近までで、うち1.6キロはトンネルで山間部を横断する。
県は現在進める詳細設計が確定後、9月に地元への計画説明会を予定し、用地の調査、買収に入る。年度内に工事を発注し、一部での着工を目標にする。総事業費、完成時期は未定。
風越道路の改良工事は4工区に分かれる。1期工区は1999年3月に開通。最も渡波地区寄りの祝田工区(1.1キロ)は2004年1月に利用開始した。1期と祝田の間で、3本の橋を架けた2期工区(1.2キロ)は東日本大震災の復興事業として14年に着手し、今年2月に完成した。
風越道路の改良が完了すれば、東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故や地震、津波などの自然災害発生時、住民避難の円滑化につながるほか、牡鹿半島の住民や漁業者の生活利便性向上が期待される。
牡鹿半島では、県道女川牡鹿線の大谷川浜-小積浜工区も年度内の着工を計画する。延長1.8キロのうち0.8キロがトンネルで、コバルトラインの地下を通って半島を横断する。3~4年での完成を目指す。総事業費は約70億円。うち55%を国の国土強靱化(きょうじんか)予算などで賄い、県負担分のうち約30億円は東北電が協力金として提供する予定。
県と市の関係者が22日、両工区の現地を確認し、斎藤正美市長が県に整備促進を要望した。県東部土木事務所の本郷雅俊所長は「災害時でも信頼性の高い道路ネットワークを形成する。早期完成に向けて取り組む」と語った。
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