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新時代の副葬銭「散華」、社会福祉に 12万円超の活用益を寄付 石巻・西光寺

寄付金を贈った樋口住職(左)と高橋共同代表

 ひつぎに六文銭を入れて故人を送る葬送儀礼の新たな形での継承と、社会福祉への意識醸成を目指し、石巻市門脇町2丁目の西光寺は、ハスの花を模した色紙で、出棺時にひつぎを華やかに彩る副葬品「散華(さんげ)」を活用した寄付活動に取り組んでいる。昨年度の活動で集まった12万5806円を23日、同市の社会福祉団体に贈った。活動を通じた寄付は2回目。

 六文銭の副葬は古くから伝わる風習で、故人が死後の世界に旅立つ船賃になるとされる。現代では10円硬貨などが用いられてきた。近年は金銭など金属類の副葬を禁じる自治体が多く、火葬後に燃え残った小銭をお守りに持ち帰る風習も廃れてきているという。

 西光寺はこうした文化を残そうと2019年、副葬を善意につなげる取り組みを始めた。六文銭の代わりに副葬する散華を遺族らに購入してもらい、利益分を寄付金に充てている。

 散華は3枚1セット100円で販売し、うち40円を寄付する。趣旨を説明し「悼む心が社会に慈悲を生む力になる」と呼びかけ、1000人以上が協力した。

 樋口伸生住職(60)は「大切な人が亡くなって一番苦しい時に、他人の幸せのために行動する。そんな優しさが根付いた石巻になってほしい」と語る。

 寄付金は同市の特定非営利活動法人「やっぺす」に贈った。生活に困窮する女性が一時避難できる住宅「やっぺすハウス」を運営しており、寄付金は主にその活動費に充てられる。

 やっぺすの高橋洋祐共同代表理事(38)は「個々人ができる範囲で行動することで世の中が変わっていく。寄付を通じ、支援の輪を広げていきたい」と感謝した。

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