サル目撃、石巻市街地で続々 群れを離れ迷い込む? 専門家「刺激せず見守って」
石巻市の市街地でサルの目撃情報が相次いでいる。27日には宜山町に出没した姿を地域住民がカメラで捉えた。専門家は県西部にすむ若いオスが迷い込んだのではないかと推測する。人的被害は今のところないが、不安を募らせる市民もいる。市は、遭遇した際は刺激しないよう注意を呼びかけている。
市によると、目撃情報は、5月9日から穀町など中心部で1日当たり1、2件あり、6月6日に湊、7日には渡波など北上川以東でも目撃された。その後目撃情報は途切れたが、21日以降、湊や羽黒町、日和が丘、山下町などに再び姿を現した。多い日には1日4、5件の情報が寄せられた。
27日には宜山町の集合住宅のベランダの柵の上に現れ、住民と目が合うと窓をたたいたり、窓に飛びかかったりした。
網戸を壊されたという主婦高橋あかりさん(28)は午前8時過ぎに息子の動画を撮っていたところベランダにいるサルを発見。慌てて窓を閉め、スマートフォンで撮影すると、窓に飛びかかってきたという。サルは何度も窓をたたき、窓には手形がびっしりと残っていた。「初めて見たときは信じられなかった。早く仲間の元へ帰れたら」と心配そうに語った。
同じ集合住宅に住む会社員斎藤浩章さん(48)方のベランダにはサルのものと思われるフンがあった。サルは目が合うと窓をたたいたが、体をかくなどくつろいだ様子も見せたという。斎藤さんは「気性が荒いと感じた。怖くてベランダに出られない」と話した。
野生のサルに詳しい石巻専修大生物科学科動物生態研究室の辻大和准教授によると、宜山町に出没したサルは3~5歳の若いオスとみられる。ニホンザルは3~7歳ごろに、生まれた群れを離れ山を放浪し、別の群れに入る習性があるという。加美町など県西部には生息しているが、石巻など東部には金華山を除いて生息しておらず「群れから離れた個体が、迷い込んでしまったのではないか」と推察する。
野生のサルはじっと見つめたりカメラを向けられたりする行為を嫌がり、激しく脅かし返すという。食べ物が室内に見えると近づく可能性があり、部屋のカーテンを閉めることも防衛策の一つ。辻准教授は「石巻にサルがやってくることは珍しくない。温かい目で見守ってほしい」と語った。
市には家庭菜園のナスやキュウリが食べられるなどの被害が報告されているが、人的被害は今のところない。市は現在、穀町と山下町におりわなを設置している。市は「目撃しても、目を見ない、近寄らない、威嚇しないで」と注意を促している。
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