(626)茎右往左往菓子器のさくらんぼ/高浜虚子(1874~1959年)
さくらんぼの茎はあっちを向いたりこっちを向いたり。落ち着いた木の器の中で、元気に跳ねているみたい。この高揚感。ほら、音読してみて! 五・七・五のリズムと文節の切れ目がずれていて、「右往左往」の「左往」に何となく力が入りません? 結果としてそこに高揚感が生まれるのかも。ウ・オの音の絡みも、活溌溌地(…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。