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いしのまき食探見>スリムねぎ 香りと彩り、薬味の王様

高橋さんが管理するビニールハウスで育つスリムねぎ。広さは約132平方メートルあるという
スリムねぎをたっぷり使用した「お小ねぎ焼き」

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

スリムねぎ

 薬味の王様、小ネギ。気温が上がり、そうめんなど、冷たいものが食べたくなる時期には欠かせない食材だ。

 ネギは「葉ネギ」と「長ネギ」の2種類がある。「スリムねぎ」は2002年に設立された、いしのまき農協スリムねぎ部会が商標登録した商品名で「葉ネギ」の一種。「小ネギ」は葉ネギを若採りしたもの。季節にかかわらず、一年中生産し、出荷されている。

 部会独自のランク付けとしてA~Cまで存在し、長さが40センチ以上65センチ以下で細いものが最も品質の良いAランクとされている。スリムねぎ部会長の高橋真也さんは「夏は暑さに焼け、冬は寒さに凍ってしまう。水量や温度の繊細な技術が必要」と語る。

 高橋さんが栽培するスリムねぎはAランクに当たり、石巻市や仙台市をはじめ秋田県、盛岡市、東京都内に出荷している。与える水の量の調節で長さをそろえ、鮮やかな緑色をした日持ちする品質に仕上げ、旅館や居酒屋の料理に使われているという。

 料理への活用法として、冷ややっこに添えたり肉巻きにしたりするのはもちろん、手軽においしく食べられる「お小ねぎ焼き」がある。京都や九州の「ねぎ焼き」をスリムねぎ部会がアレンジした料理で、今回部会のメンバーに作っていただいた。

 お好み焼きの生地に小口切りのスリムねぎやイカなどの具材を混ぜて焼き、ソースや紅ショウガなどをトッピングして完成。小ネギのみずみずしくシャキシャキとした食感や爽やかな風味が楽しめる。

 高橋さんは「スリムねぎを広めたい。一度食べて、おいしいと感じてもらえるとうれしい」と話した。
(渋谷和香)

<メモ>
 いしのまき農協スリムねぎ部会は、石巻市桃生町の28人の生産者が所属し、年間約300トンのスリムねぎを出荷。薬味としての需要が増える6月から9月が最も出荷量が多く、1日に1.5~2トン出荷するという。市内では量販店などで購入することができる。

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