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いしのまき食探見>アスパラガス 茎の根元茶、新発見の味

アスパラ茶。手前が3分、奥が5分入れたもの
育苗中のアスパラガスを手入れする佐藤社長

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

アスパラガス

 鮮やかな緑色が食卓に彩りを与えるアスパラガス。ビタミンやポリフェノールを多く含むなど栄養価が高いだけでなく、農産物としても高収益が見込める作物だ。

 県石巻農業改良普及センターは石巻地方をアスパラガスの産地にしようと2020、21の両年度、農家らを対象に栽培方法の勉強会を実施。収穫まで2~3年を要する一般的な「立茎栽培」や、1年サイクルで収穫する「採りっきり栽培」の技術を情報発信した。

 東松島市矢本の「パスカファーム立沼」は、採りっきり栽培でアスパラガスを育て始めて4年目になる。ただ、今年の収穫は「ほぼ全滅」と佐藤正社長(60)が渋い表情を見せた。アスパラガスはカビの繁殖が引き起こす茎枯病(くきがれびょう)に弱い。

 同社は鉢と地植えで栽培する。鉢に植えたままでの販売は、自宅で収穫体験ができると好評だ。採れたては切り目から水分が滴るほどみずみずしく、甘みが強いという。現在、来春の出荷に向けて200鉢を育苗する。

 収穫時に残る茎の根元部分を乾燥させた「アスパラ茶」の生産にも挑戦する。香ばしい風味が特長で、甘さは石巻地方で親しまれる「かきあめ」にどことなく似ているかも。新発見の味だ。

 同社が立地する立沼地区は東日本大震災の津波で大きな被害を受け、農業から離れた住民も多い。佐藤社長は「地区の農業活性化に一役買えれば」と語った。
(西舘国絵)

<メモ>
 アスパラガスの2021年産の全国の収穫量は2万5200トン。アスパラ茶の販売は休止中。パスカファーム立沼は乾燥ミニトマトのオリーブオイル漬けなども石巻市恵み野6丁目の農産物直売所「グリーンサムいちば」で販売している。

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