吉田川と合流の25河川、特定都市河川に 東北初 流域全体で災害対策を推進
国土交通省は東松島市などを流れる吉田川と、吉田川に合流する25河川を18日に「特定都市河川」に指定する。東北地方整備局北上川下流河川事務所が13日に発表した。東北での指定は初めて。浸水被害から国民の生命や財産を守る「特定都市河川浸水被害対策法」に基づく指定で、今後は国や自治体、民間企業、住民など流域全体で浸水災害対策を進める「流域治水」を実践する。
今後、関係機関などで流域水害対策協議会を組織。堤防などハード整備を加速するほか、田んぼに雨水を一時的にためて洪水被害を軽減する「田んぼダム」の推進など貯留機能の向上、水害リスクを踏まえたまちづくりなど、関係機関が協働した流域水害対策計画を策定する。浸水リスクが高い地域での住宅などの建築を許可制にするといった、浸水被害防止措置も行う。
協議会は8月に設立する予定。北上川下流河川事務所の石井貴範副所長は「流域住民が少しでも安心安全に暮らせるよう、関係機関や住民と一緒に取り組みを進めていきたい」と話した。
吉田川は2019年の台風19号で堤防が決壊し、濁流が流れ込んだ大郷町粕川地区では甚大な浸水被害が出た。昨年7月の記録的大雨でも被害が発生した。
東松島市をはじめ、流域7市町村などは昨年8月に「吉田川流域治水部会」を設立し、特定都市河川指定に向けて手続きを進めてきた。指定される25河川には同市上下堤などを流れる堤川も含まれる。
県は18日、県管理の高城川など10河川を特定都市河川に指定する。高城川は吉田川の下をくぐり抜ける人工河川で、両河川が治水上密接に関わり合っていることから同時指定となった。
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