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子どもが評価される場面づくりを 授業や縦割り活動に工夫 石巻、東松島の小学校

6年生が1年生の教室で放課後の清掃を手伝い、自然な形で自己有用感が育まれていく=矢本東小

 「日本の子どもは自己有用感が低い」と指摘される中、自己有用感を高める教育活動が注目されている。石巻市や東松島市の小学校では、授業や縦割り活動などを通じて、子どもが活躍し他者から評価される場面をつくり出している。

 石巻市鹿又小(児童308人)は、「生徒指導の3機能」を生かした授業の中で児童の自己有用感を高めている。3機能は(1)自己存在感を与える(2)自己決定の場を与える(3)共感的な人間関係を育成する-を指す。

 特に、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進める算数の授業は、子どもが主体的に学び、助け合いながら課題解決を図っていく。「誰一人取り残さない」という意識を共有し、1人で集中したり、ペアやグループになったりして学習内容を定着させる「適用問題」を解いていく。

 浦山正幸校長は「算数の授業は、みんなで助け合いながら問題を解いていくことで全員の自己有用感が高まる」と指摘する。

 東松島市矢本東小(児童449人)は、通年で縦割り活動ができるように毎週水曜日を活動日に設定する。全校5時間にし、放課後、縦割り班で清掃と遊びの活動をする。

 前年度は縦割り14班だったが、26班に増やした。各班は活動の中心となる6年生の人数が減ったため、少ない6年生一人一人が活躍する場ができた。

 相沢進校長は「縦割り活動は異年齢の顔を覚え、教員も褒める機会が増える良さがある。6年生は先生に褒められ、下学年に信頼され自己有用感が増していく」と語る。

 「縦割り遊びの中でルールや思いやりの気持ちが育まれる」と相沢校長。「教育活動の中で子どもの出番を工夫し、役割を与え、行為を褒めてあげることが大事」と強調する。

 本年度、縦割り活動を充実させる石巻市石巻小(児童283人)は、4年ぶりに縦割り班による昼食会と清掃を再開した。6年生が企画する業前活動の縦割り遊びや、秋には縦割り遠足を実施する。

 新井雅行校長は「集団を動かす6年生に1、2年生も協力する。異年齢の活動でリーダーシップや認め合い尊重する共感的な人間関係が育まれる」と話す。

 同市湊小(児童132人)は、地区ごとにした縦割り7班で業前の遊びの活動や集会の準備をする。「集団下校の日」に一緒に帰る。

 久保田健一校長は「6年生はリーダーシップを発揮し、希薄になっていた横と縦のつながりが強くなる。思いやりの心も育まれる」と言う。

 小中連携の取り組みを進める東松島市では、中学校区の小中合同あいさつ運動が実施され、生徒のリーダーシップや先輩への憧れの気持ちを育てている。

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