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(644)かたはらに硯の匂ふ涼みかな/日向美菜(2002年~)

 風を感じる。簀(す)の子(こ)を立てた文机に、開けっ放しのふばこ。畳の藺草(いぐさ)の香りに混ざって、すーっと庭木の緑の香りも通ってゆく。硯(すずり)はちょっとした手紙や熨斗(のし)紙を書くような小型のものだろう。いつも「かたはら」にある座右の愛硯(あいけん)。先ほど磨(す)った墨の香りが残ってい…

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 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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